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目の病気について

白内障

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どんな病気?

目をカメラに例えると、レンズの役割を果たしている「水晶体」が濁る病気です。水晶体が濁っていると、外からの光が十分に入らなかったり、散乱したりするため、物が見にくくなります。

症状は?

  • 「まぶしい」…水晶体が濁ってすりガラスのような状態になると、目に入ってきた光が散乱します。そのため、以前より光をまぶしく感じるようになり、明るい所では物が見えにくくなります。特に日光が強くさしている場所に出たりすると、一層まぶしく感じます。また、夜間でも、自動車の運転中等に対向車のライトを浴びると、まぶしくてほとんど見えなくなることもあります。
  • 「目がかすむ」…最もよくみられる症状です。水晶体の濁りが広がってくると、目の前に霧がかかったように物がかすんで見えます。
  • 「暗い所で物が見えにくい」…水晶体が濁ってくると、網膜に届く光の量も減ってきます。そのため、以前に比べて暗い所で物が見えにくくなったり、照明が付いていても暗く感じたりします。
  • 「細かい文字等が見えにくい」…新聞等の小さな文字が段々読みにくくなります。この場合、手元が良く見える眼鏡を掛けても見えにくさは変わりません。
  • 「物が二重に見える」…白内障が起きている方の目だけで見た時、物が二重、三重に見える「複視」が起こることがあります。これは水晶体が濁ることで、中心部にある核と、その周りの屈折率がずれてくるためです。
  • 「一時的に近くが良く見えるようになる」…水晶体の核が濁って硬くなると、屈折率が増して「近視」の状態になり、近くの物が良く見えるようになります。「老眼が治った。」「最近新聞の字が前より見やすくなった。」とおっしゃられることがありますが、一時的な症状で、白内障の進行につれて視力は低下していきます。

白内障は、片目から進行する場合と、両方の目にほぼ同時に起こる場合があります。両方の目に起こると視力の低下に気付きやすいですが、片方の目だけ進行している場合は気が付かない場合もあります。ご高齢になられたら、時々、片目を隠して見えにくくなっていないか確認すると良いでしょう。

白内障の多くは加齢現象が原因のため、慌てて治療をする必要はありませんが、見にくさ等の症状がある場合は、その症状が白内障によるものか、他の目の病気によるものなのかを調べるため、眼科を受診して頂くのがお勧めです。

白内障の濁り方の種類と進行

  • 「皮質白内障」…水晶体の周辺部の皮質から濁ってくるもので、加齢性白内障でよく見られます。小さな楔形の濁りがいくつも生じてきます。初期は症状に気付かない人も多いですが、まぶしく感じたり、暗い所で物が見にくくなったりする人もいます。濁りの程度が進行すると視力が落ちてきます。
  • 「核白内障」…水晶体の中央にある、核の部分から濁ってくるもので、加齢性白内障や強度の近視がある人によく見られます。核が硬くなり、水晶体の屈折率が増すため、一時的に近くが見やすくなることもあります。また、物が二重三重に見えることもあります。進行して濁りが広がってくると、視力低下が起こります。
  • 「後嚢下白内障」…水晶体の後ろ側の皮質から濁ってきます。水晶体の真ん中から濁り始めるので、濁りが少ない場合でも早くから視力の低下等の症状が現れます。明るい所や逆光の状態では非常にまぶしく感じることもあります。長期間のステロイド薬の服用や加齢によって起こりやすいです。
  • 「前嚢下白内障」…アトピー性白内障がある若い人によく見られます。前嚢の内側の皮質が中央から濁ってくるので、明るい場所で早い段階から症状が現れます。
  • 濁り方の種類ではありませんが、アトピー性皮膚炎、糖尿病、目の怪我、白内障以外の目の病気を長く患っている、ステロイド薬を長期間使っているという場合にも白内障が起こることがあります。また、生まれつき白内障がある場合もあります。

白内障の治療

  • 日常生活で支障が無いうちは、点眼薬(白内障の進行を抑制します)で定期的に経過をみて
  • 度数の合った眼鏡を使用しても日常生活で不自由を感じる場合、また仕事などで支障がある場合に手術を検討します。

○普通自動車の免許を更新する場合には、両眼で0.7以上の視力が必要なため、眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても0.6以下の視力の場合、自動車の運転を続けるためには白内障の手術を受けて頂く必要があります。

当院では白内障の手術は行っておりませんので、手術可能な医療機関をご紹介させて頂きます。

白内障の手術

白内障の手術は、濁った水晶体を取り除いて、そこに眼内レンズを入れます。この手術を「超音波乳化吸引術」といいます。手術の所要時間は10~20分間程で、日帰りでの手術も可能です。両方の目に白内障がある場合は、濁りが強い方の目から先に手術をし、数日~1週間程度あけてもう片方の目を手術します。

緑内障や糖尿病網膜症等他の目の病気を合併している場合でも、その病気の治療がきちんとできていれば、白内障の手術は可能です。

なお、レーシック手術(近視等を矯正する手術)を受けたことのある人は、白内障の手術で使用する眼内レンズの度数を正確に調整するため、レーシック手術を受けた医療機関から、手術以前の目の状態が分かるデータを取り寄せる必要があります。

眼内レンズ

手術の翌日から物が良く見えるようになりますが、目の状態等によっては視力の回復に1ヵ月程度掛かることもあります。手術後は、炎症を抑えたり、感染症を予防するため、数日間点眼薬を使用します。(患者様の状態によっては、1~3ヵ月間使用することもあります。)日帰りで手術を受けた場合も数日間は通院が必要です。洗髪や洗顔も感染症を引き起こす可能性があるため、医師の許可が出るまでは行わないようにします。

眼内レンズには、1つの距離にだけピントを合わせた「単焦点眼内レンズ」と遠距離と近距離の2ヵ所にピントを合わせた「多焦点眼内レンズ」があります。また、単焦点・多焦点共に乱視を矯正する眼内レンズもあるため、乱視も治療できます。

単焦点眼内レンズ 多焦点眼内レンズ

①眼内レンズ度数の

合わせ方

眼鏡を掛けない状態で、どの距離が見やすくなるようにしたいかを考え、

・車の運転をする機会が多い場合…遠距離が見やすいように

・テレビを見ることが多い場合…中間の距離が見やすいように

・読書をすることが多い場合…近距離が見やすいように

度数を調整します。

遠方:数m以上

近方:目から数10㎝~その人の見たい距離に合わせて

度数を調整します。

長所 ①で合わせた距離の物が見やすい 眼鏡無しで遠くと近くの2ヵ所にピントが合う
短所 ①で合わせた距離以外の物は見にくいため、ピントが合わない距離の物を見る時は眼鏡が必要になる

・単焦点眼内レンズほどは鮮明に見えにくい

・暗い場所で見えにくい(夜間の運転時には、対向車のヘッドライトが何重にも見えたりすることがある)

・健康保険が適用されないため、片方の目のみで30万~50万円と治療費が高額になる

・緑内障や糖尿病網膜症等、他の目の病気がある場合は使うことができない

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